前回のブログ記事で、クラニオセイクラル・バイオダイナミクスとクラニオセイクラルセラピーとの違いについて書きました。
この違いは、クラニオワークの父、サザーランドとクラニオセイクラルセラピーの創始者アプレジャーの業績について知るとよりわかりやすいと思います。
私が理解している範囲で、できるだけクラニオワークに知識のない人にも興味を持ってもらえるように、2人のクラニオワークの先駆者について書いてみます。今回はDr.サザーランド(1873〜1954)です。
クラニオワークの父、サザーランド

1、頭の骨は動いている
1899年、今から130年ほど前のことですね、日本では明治32年、オステオパシー(アメリカの自然医学)の大学の学生であったサザーランドは、頭蓋の模型を見て、側頭骨が魚のえらのように呼吸をするのではないか? という考えを持ちます。上の写真で顎の右にあるピンクの骨です。頭頂骨との境目は、側頭骨の方が上に乗っかっています。それで、えらのように見えます。
この出来事が、クラニオワークの始まりのストーリーです。
当時の医学的な常識では、頭の骨が動くということは、全く考えられないことでした。
その考えがあまりにも強く、それが間違っていることを実証するために、彼は研究を続けました。
オステオパシー大学の学長であったDr.スティルは、サザーランドの疑問、迷いに対して常識にとらわれないで真理を探究しなさいと励ましたと言われています。

サザーランドは、上の図のようなヘルメットを作り、自分自身の頭を使った実験を続けました。蝶形骨を締め付けると頭痛、苛立ち、抑うつ、等の状態が起こり、側頭骨を締め付けると耳鳴り、平衡感覚の喪失等が起こった等と記録されています。蝶形骨の実験の時、あまりにも人格、気分が変わり、夫人が中止を求めたというエピソードもあったそうです。
2、第一次呼吸メカニズム
数十年間研究を続け、1、頭の骨の可動性、2、頭の中の硬膜の動き(相互張力膜)3、脳脊髄液の波動 4、中枢神経(脳+脊髄)の動き、5、硬膜を通して頭蓋と繋がっている仙骨の動き
これらが一つになって機能していることを突き止め、第一次呼吸メカニズムと名付け、Craial Bowl(1939)という著作で発表しました。
サザーランドは当時、社会的には無名な存在でした。ただ、彼の治療は、どんな症状に対しても良い結果をもたらし、名医として絶大な信頼を得ていたようです。
第一次呼吸メカニズムは身体の組織の機能的な関係を明らかにしたもので、後にバイオメカニカルアプローチと呼ばれます。
そしてこの第一次呼吸メカニズムというコンセプトが、アプレジャーのクラニオセイクラルセラピーの理論的な背景になります。
3、1945年の臨床体験
サザーランドが人生の後期にクラニオワークへの展開に、大きなきっかけになったと言われる臨床事例があります。
1945年、サザーランドは瀕死の重症の患者の臨床に立ち合います。サザーランドは治療家としてなす術なく、患者の身体に手を置き、ただ静かに患者に寄り添いました。すると突然深い静寂が訪れ、その静寂の中から、強力な治癒の力が湧き上がり、患者のシステムが再編・回復していくのをサザーランドは、目の当たりにしたそうです。
この臨床体験は、クラニオワークが、組織を操作する手法(バイオメカニクス)から生命の根源に触れるワーク(バイオダイナミクス)へと進化した瞬間と言われています。

4、Breath of Life( いのちの息吹)
1945年の臨床体験を前後してサザーランドは、意図的に操作するメカニックな手法から、静寂を重視し、脳脊髄液の中にある知性、目に見えない生命力の探究に関心が移っていきます。
1940年代後半からサザーランドは、第一次呼吸メカニズムの背後にある力をBreath of Life(いのちの息吹)と呼ぶようになります。
『いのちの息吹』は、旧約聖書の言葉です。創世記7章2節に、こうあります。
『主なる神は土のちりで人を造り、いのちの息をその鼻に吹きいれられた。そこで人は生きた者となった。』
サザーランドは、私たちの身体を動かす力は、人智を超えた神なるものである、と理解しました。
私たちの身体は、第一次呼吸(私たちが無意識に行っている宇宙エネルギーの呼吸、詳しくは前回のブログ記事)を通して、神が毎瞬毎瞬、新たな生命を吹き込んでいる。そのことによって私たちは生かされている。そんなふうにイメージしてみるといいでしょうか?
神とは、宇宙の叡智であり、無条件の愛であり、私たちの人智を超えたサムシンググレイトです。
宇宙的な知性であるいのちの息吹は、第一次呼吸を通して、脳脊髄液の中に吸収され、身体全体へと伝えられ、私たちの生命活動は維持されています。
それは、私たちの身体に宇宙の叡智、神の意志を届け、私たちの身体に本来備わっている健康を目覚めさせるプロセスです。

いのちの息吹は、第一次呼吸を通して、受精卵から大人の身体にまで私たちを成長させ、大人になってからも健康をもたらす知恵であり、同時に宇宙を創造する叡智でもあります。
私たちは、宇宙の叡智を日々刻々、受け取り、生かされています。
クラニオバイオのセッションは、静寂の中で、個の存在の中に、宇宙の秩序が浸透し、健康な力、宇宙との調和が蘇るプロセスです。
6、晩年
1940年代からサザーランドの業績は、認知され出し、オステオパシーの大学等に講師として招かれるようになります。またSCTF(サザーランド・クラニオ・ティーチング・ファウンデーション)等の財団を創設したり、自らのクリニックのあるカリフォルニアで、多くの弟子(ローリン・ベッカー等)を教育しました。
彼の貢献により、オステオパシーの中にクラニオオステオパシーという分野が作られていくことになります。
7、Be still and Know(静まりて知る)
サザーランドの墓石に刻まれた言葉です。
旧約聖書の詩編46編10節『Be sill, and know that I am God.』
からの言葉です。
サザーランドが生涯を通して到達した境地であり、クラニオワークのエッセンスを私たちに伝える言葉と私は受け取ります。
サザーランドの生涯に触れるとバックボーンにクリスチャンとしての信仰があること、真摯な探究者であったことが、伝わってきます。
そして、とても爽やかな風が吹いているかのように感じます。
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ギリ